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北鎌尾根と前と後

最終更新: 2019年10月1日

2019年9月13日(夜行)- 9月16日 

参加者 樋口、渡辺(正)、君塚 (敬称略)

 じゃじゃじゃじゃーん。また今年もやってきました。キタカマ。通称「きたかま」は言わずと知れた「北鎌倉」です。しかし、山を愛する人の間で「キタカマ」は「北鎌尾根」を指す(噂)。両方好きなひとはなんていう?

・・・しかし、あまりいない。したがってどうでもよい。


 13日(金)は沢渡足湯駐車場の東屋で寝袋の予定でいたが、既に先着者がぐっすりの為、そばの足湯の周りにマットを敷いての寝袋態勢。若干のアルコールののち、寝袋に収まるがそこは足湯である。車がどしどし押し寄せ、それとともに時間に関係なくぽつぽつと足湯につかる輩が訪れる。当然そこに人が寝ているなど誰も思わず足を湯につけ、なんだかんだと話始め、ふとした瞬間に寝ている人に気が付き声を潜める。あるときは集団(恐らく5-6人)でやってきて、「気持ちい~」「そっちは熱いよ、こっちはちょうどいい」などお膳立てがすむと「プシュ」「お疲れ様~」。恐らく2時頃。「えー、もう2本目―」「えーそうなのー」とか何とか会話が続く(そのうちこちらも意識が途絶える)。


 そして朝がやってくる。満車状態の駐車場からほぼ全員が上高地に向かうであろう、よって当然予想されていたがバスターミナルには切符を買う列、バスを待つ列。その列に並ぶも恐らく臨時バスの増発もありほどなくバスに乗車、上高地に着く。すずしい。やはり高原。だがそんなさわやか気分は長くは続かず、日が高くなり始めると暑いのなんの。最高の天気に恵まれ、雲ひとつない真夏のような日差しの下、まずは横尾へ。人の行き交う横尾銀座を尻目に飄々と大曲へ。そして絶望の水俣乗越への登り。一つの心臓と二つの肺という人間の機能ではまもとに登らせてくれない。あごから、額から滝のような汗を流し、全身びっしょりになり、まさにあえぎながら水俣乗越を目指す。やがて到着したそこは狭いコル上の尾根道、15,6人ほどが休憩している。東鎌尾根縦走の人たち、天上沢を下る人たち。いよいよ我らあんぺじの精鋭にとって今日のメインイベント天上沢の下り。枝を掴み、幹をつかみ、葉っぱを掴みしながら落ちて行く。しかし傾斜は徐々にゆるくなり、枯れた沢の縁を縫って下っていくとしだいに水のない河原を歩くようになる。巨岩があちらこちら体積しているよくある河原とは趣の違う歩きにくい涸れ沢を下っていくが、そんな中、比較的歩きやすい踏み跡がところどころついている。その河原を「飽きた」「いいかげんにしてくれ」とうんざり文句が何度も口をつくころやっと行く手にテントの端っこが見えてくる。本日の宿場、北鎌沢出合に到着である。今回はテントが多い。30張程度あろうか。北鎌沢出合から少し下ったところに水の流れがあり、その手前にテントを張る。4時、本日の行軍終了。


 14日(土)4:30まずは北鎌のコルに向けて出発。巨石、巨岩をえっちらほっちらとよじ登る。沢の流れは昨年より多く、ところどころ流れの中を登って行く。次第に明るくなる中、背景の尾根も次第に明るくなり、登ってきた高度がわかるようになる。前にも後ろにもいくつかのパーティーがおり、励ましながら、譲りながらの登り、すれ違いで声をかけながら上へ上へと進む。やがて足がかりのない巨岩を乗り越えると沢の様相から、草付きの岩の登りになり、ほどなくコルに着く。あっさりと(私感)着いてしまった。なぜか昨年苦労しおまけにハチにも刺されたあの憎き最後の草付きの登りがない。コルも昨年のコルとは雰囲気が違う。そして「去年は間違ってた」とそこでわかった。

 しばし休憩ののち先へ進む。ハイマツ、低木をかき分けながら進むとほどなく岩稜の稜線となる。踏み跡を辿りながらいくつかの岩峰を登り、巻、下り、ときに落石を起こしながら進むと前方に独標の佇み。登り下りを経ていよいよ独標への巻道。踏み外せない狭い巻道を淡々と進むと、ある地点から先行に続き独標の頂上へ向けてよじ登り始める。前回は巻道の終了まで進み、クライムダウンで急峻なザレ沢に降り、そこからなんとか対岸の壁に取り付き脆い岩稜を登るという派手な間違いを犯している。今回は先行のおかげで難なく登りへ向かう。先行者からの落石が避けられない箇所での待ちがあったもののやがて独標の頂上に着く。行く手に槍ヶ岳が鎮座している。ここからも岩峰をときに巻き、ときに直登し先に進むが、左右にある巻道の踏み跡で迷うと、一人が右、もう一人が左へルートを確認し、息のあったチームワークで先に進む。 

 徐々に槍ヶ岳が大きく迫り、いよいよ堆積した巨岩を踏み渡る頂上下の岩稜帯を行くようになる。力をほぼ使い果たし、休憩をお願いし息を整えたのち、岩稜を登りきりチムニーをよじ登ると、すぐそこに山頂の人たちの賑わい。そして、祠の裏へと登りきる。

 絶好の天候のもと14:30槍ヶ岳に到着。しかし、狭い頂上には溢れんばかりの人。それもそのはず、槍の肩からひとが連なっており、頂上にいたお姉さんは2時間半待ちだったとのこと。早々に肩へと降りるとここも小屋の周辺は人人人。楽しみしていた炭酸入りのソフトドリンクはすべて売り切れ。しかし、ビールはいくらでもある。飲料の需要予測を改める必要がある。休憩ののち殺生ヒュッテへと下る。小屋でテントの受け付けをするが、こちらはビールが売り切れ。こちらも飲料の需要予測の再考が必要だ。最も若く、元気のある樋口さんがヒュッテ大槍にビールを買いに行き、テントを設営したのち乾杯。今年の北鎌尾根無事終了。



 翌日の早朝弱い霧雨の中、連休の最終日でもあり暗いうちから上の山荘からの下山者がひっきりなしに降りてくる。そんな中我らも6:00に下山開始。降りるに従い天候が回復しまた暑い日差しが戻ってくる。今日も下から多くの人がアイドル「Yarigatake」を目指して登ってくる。槍沢での休憩を経て上高地へ、そして沢渡へ。

 足湯駐車場の向かいの商店に掲げられた「温泉」ののぼりに誘われ初めてその「温泉」に入る。20畳程度の広さの空間の真ん中に3畳程度の湯船が鎮座し、両隅にスノコが引いてあり、そこが脱衣スペース。椅子と桶がいくつか置かれており、そばにシャンプーとソープの入れ物が一つづつ。シャワー、お湯の蛇口はなし(シャワーは一つ上がり湯専用との但し書き)。湯船のお湯をじゃぶじゃぶと使って体を洗い、お湯につかる。少し熱めのお湯だが3日振りの風呂は気持ちがいい。超シンプルなお風呂、300円也。途中信州そばで昼食とし、帰路につく。

 3日間の北鎌尾根山行終了。皆さんお疲れ様でした。